風待ち月

ゆらゆらと揺れる日々の気持ちを風に乗せて

通り雨

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

 

手をつないで走りだす

突然の雨が

白い夏の制服をあっという間に濡らして

 

曲がりくねった細道は

深い緑の木々の下

 

坂道を越えて細い橋まで

走っていく

 

 

ふたりの後ろ姿は

いつの間にか

 

俯瞰したように

高いところから見下ろすように

映画のワンシーンを見てるよう

 

ただ見つめて

いつまでも見続けてしまう

 

いまも目を閉じて

 

いつかの夏の通り雨